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冥界の門前で二又の杖とザクロを持つハデスを表した独自制作イメージ。

古代ギリシャ · 神

ハデス

Hades

Codex ImageGen による独自制作イメージ。古代の図像資料の再現ではありません。

ハデスはどんな神?

ハデスは、ギリシャ神話で死者が向かう冥界を治める神です。死そのものを生み出す悪魔ではなく、ゼウスやポセイドンと世界を分け、地下の領域を受け持つ王として描かれます。ペルセポネを冥界へ連れ去った物語は、母デメテルの悲しみと大地の実りまで動かしました。[1][3][2]

  • くじで冥界を受け持ったゼウス、ポセイドンとの世界分けで、霧と闇に包まれた死者の領域を治めることになりました。
  • ペルセポネの連れ去りが飢饉を招いた娘を失った農耕の女神デメテルが実りを止めたため、神々も母娘の別れを放置できなくなりました。
  • ザクロの種が二つの世界を結んだ冥界の食べ物を口にしたペルセポネは、一年の一部を地下で過ごし、残りを地上で母と暮らします。

基本情報

分類
ギリシャ神話 / 冥界の神
司るもの
冥界、死者、地下の富
主な象徴
王笏、ザクロ、見えなくなる兜
目次

ハデスは、冥界で何をした?

世界の分配とペルセポネの物語から、冥界の王としての役割を見ていきます。

冥界の王になったのは、くじで地下を得たから

ハデスはゼウスとポセイドンの兄弟です。『イリアス』第15歌では、古い神々との戦いの後に三兄弟がくじを引き、ハデスは霧と闇に包まれた死者の領域を得たと語られます。冥界を選んで他の神々から離れたのではなく、世界の分担で受け持ったのです。[1]

古代ギリシャの神々には、それぞれ主に働く領域があります。ゼウスが天空、ポセイドンが海、ハデスが冥界を治めます。地上とオリュンポスは三兄弟に共通するとされるため、ハデスも世界の外へ追放された存在ではありません。[1][2]

物語に登場する相手とのつながりを、役割ごとに整理しました。名前を選ぶと関係する逸話へ移動できます。

ハデス神

兄弟と冥界の家族

ゼウス

天空を得た兄弟。ペルセポネの帰還をハデスへ命じます。[1][3]

ペルセポネ

冥界へ連れ去られ、のちに一年の一部をそこで過ごす妻。[3]

デメテル

娘を取り戻すため、大地の実りを止めた農耕の女神。[3]

ペルセポネを冥界へ連れ去り、大地から実りが消えた

『デメテル讃歌』で、若い女神ペルセポネが野原で花を摘んでいると、大地が開き、ハデスが馬車で現れて彼女を冥界へ連れ去ります。この結婚は父ゼウスが認めていましたが、母デメテルには知らされていませんでした。[3]

農耕を司るデメテルは娘を探し続け、悲しみと怒りから神々への奉仕を拒みます。すると大地は作物を実らせなくなり、人間も神々への供物を捧げられなくなりました。一つの家族の争いが、世界の飢えへ広がったため、ゼウスも放置できなくなります。[3]

帰還の前に食べたザクロが、二つの世界を結んだ

飢饉を終わらせるため、ゼウスはヘルメスを冥界へ送り、ペルセポネを母のもとへ返すよう求めます。ハデスは帰還を認めますが、その前にペルセポネへザクロの種を食べさせました。冥界の食べ物を口にしたため、彼女は完全には地上へ戻れません。[3][4]

ペルセポネは一年の一部をハデスのもとで、残りをデメテルのもとで過ごすことになります。母娘が再会すると大地は再び実り、離れる時期には力を失います。ハデスの物語は冥界の恐ろしさだけでなく、地上と地下、死と再生が行き来する仕組みを説明しました。[3][4]

  1. 1
    連れ去り

    ハデスがペルセポネを冥界へ連れていく。[3]

  2. 2
    母の抗議

    デメテルが実りを止め、地上に飢饉が起きる。[3]

  3. 3
    帰還の命令

    ゼウスがヘルメスを送り、地上へ返すよう求める。[3]

  4. 4
    二つの世界

    ザクロを食べたため、一年を地上と冥界に分けて過ごす。[3][4]

さらに詳しく知る

見えなくなる兜、名前の呼ばれ方、後世の悪魔像との違いを整理します。

ハデスは、死そのものを振りまく悪魔ではない

ハデスは死者の国を治めますが、出会った人を次々に殺す神として描かれるわけではありません。『イリアス』での呼び方も『死者を治めるハデス』です。人が死んだ後に向かう領域の王であり、死という出来事そのものとは役割が違います。[1]

後世の創作では、暗い地下世界、黒い衣、厳しい王という要素から悪役に置かれることがあります。しかし古代の資料では、ゼウスやポセイドンと同じ家系に属し、世界の一部を治める神です。『冥界=悪』という考えをそのまま当てはめない方が、元の姿に近づけます。[2][1]

見えなくなる兜と、口にしにくい神の名

ハデスの持ち物として知られるのが、かぶった者を見えなくする兜です。アポロドロスの物語では、巨人との戦いでヘルメスがこの兜を借りて使います。ハデスだけの攻撃技ではなく、神々が目的に応じて借りる道具としても登場しました。[5]

ハデスは冥界そのものの名としても使われ、後には地下の富を強調するプルトンという名でも呼ばれます。現代の作品名やキャラクター名で『ハデス』『プルート』『プルトン』が別々に見えても、古代の冥界神をたどると重なりが見えてきます。[4]

ハデスが登場する作品

作品ごとの登場人物や設定を紹介します。

出典・参考資料

本文の注番号から、根拠にした資料を確認できます。

  1. 1
    Homer, Iliad, Book 15 ↗ Perseus Digital Library, Tufts University · 一次資料(英訳)

    ゼウス、ポセイドン、ハデスがくじで天空・海・冥界を分け、地上とオリュンポスは共有したというポセイドンの言葉を確認。

  2. 2
    Greek Gods and Religious Practices ↗ The Metropolitan Museum of Art · 博物館解説

    ゼウスが天空と神々の中心、ポセイドンが海、ハデスが冥界を治めることと、古代ギリシャの信仰実践を確認。

  3. 3
    Homeric Hymn to Demeter ↗ Center for Hellenic Studies, Harvard University · 一次資料(英訳)

    ハデスによるペルセポネの連れ去り、デメテルの嘆きと飢饉、帰還と冥界で過ごす期間の成立を確認。

  4. 4
    Persephone (Greek deity) — CONA Iconography Record ↗ Getty Research Institute · 研究機関データベース

    ペルセポネがハデスの妻で冥界の女王となり、ザクロを食べたため一年の一部を冥界で過ごす説明を確認。

  5. 5
    Apollodorus, Library 1.6.2 ↗ Perseus Digital Library, Tufts University · 一次資料(英訳)

    ハデスの兜が着用者を見えなくすると考えられ、別の神々にも貸された伝承を確認。

  6. 6
    『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』映像化発表 ↗ トムス・エンタテインメント · 作品公式プレスリリース

    18世紀を舞台に、女神アテナの聖闘士と冥王ハーデスによる前聖戦を描く作品概要を確認。

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